
こんにちは、あすかです!
今回は先日クリアした『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』の感想とレビューを書いていきます。
まず率直な感想としては、全体を通して面白かったですが、古臭さも感じてしまったというのが正直なところです。

もちろん、大幅に増えた悪魔たちや豪華声優陣によるフルボイス化、どこからでも手軽に移動できるファストトラベルなど、原作と比べ進化している部分は多々あります。ただ、肝心なゲームプレイの基盤部分にはどうしても物足りなさを感じてしまいました。
とはいえ、金子一馬さんがデザインした美しい悪魔たちを鮮明な3Dグラフィックで連れ回せたり、戦闘システムが『アバドン王』をベースにしたことで軽快で遊びやすくなっていたりと、原作を遊んでいた身としては嬉しい進化が多かったのも事実です。
初めてライドウシリーズに触れる人には普通におすすめできる、手堅い一本だとも思います。

20年前とはゲーム舌の肥え具合が段違いなのよね…。良くも悪くもPS2時代のゲームがベースということを念頭に置いておいたほうがいいかも。
あすかの総合評価 | |
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満足度:73点 | |
ストーリー・キャラ | |
世界観・デザイン | |
システム・UI | |
サウンド・BGM | |
グラフィック | |
ボリューム・やりこみ | |
プレイハード | PS5Pro |
クリア時間 | 15時間 |
作品概要

メーカー | ATLUS |
発売日 | 2025年6月19日 |
価格 | ¥6,578 |
ジャンル | アクションRPG |
対応機種 | Nintendo Switch1,2 / | PlayStation4,5 / XBOX S,X / Steam
2006年にPS2で発売された『デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 超力兵団』をHD化したリマスター作品です。オリジナル版から実に19年越しの復活となります。
単なる画質向上だけでなく、新たに50体以上の悪魔が追加され、キャラクターはフル3D&フルボイス化を実現しました。さらに戦闘システムも現代向けに刷新されるなど、リメイクと言っても過言ではない進化を遂げています。

『真・女神転生』や『ペルソナ』シリーズのコマンド中心のバトルとは異なり、本作の戦闘はアクションが主体になっています。フィールド上に存在する敵シンボルに攻撃を仕掛けることでバトルフィールドに移行し、主人公・ライドウ自身を操作して仲魔と共闘しながら敵を倒すバトルが特徴です。

特にライドウシリーズでは悪魔が単なる仲魔にとどまらず、フィールド探索や謎解きなどにも活躍し、捜査パートでも悪魔の力を借りる場面が多いため、自然と悪魔に愛着が湧きやすいのが大きな魅力です。
ATLUSの描く個性豊かな悪魔たちを存分に堪能できる本作は、シリーズファンはもちろん、メガテン悪魔が好きな方にも強くおすすめできるポイントになっています。


推し悪魔のベルゼブブ様!!
購入動機の半分ぐらい占める存在
登場する悪魔たちは非常に魅力的
リマスターされた本作では、原作から大幅に新たな悪魔が追加され、その数は約130体にもなります。
仲間にした悪魔のうち1体はフィールドに連れ歩けるのですが、ライドウの後ろをちょこちょこついてくるその姿はかわいらしく、つい笑顔になってしまいます。

さらに各悪魔にはボイスも実装されており、戦闘中やレベルアップの際に簡単なセリフを喋ってくれます。
レベルが上がった時には「ライドウっ」と親しげに呼んでくれたり、悪魔合体時には別れ際に手紙を残してくれたりするなど、他シリーズと比べても悪魔との距離感が近く、“ただの戦闘用”ではない相棒のような感覚を味わえます。

また『真・女神転生Ⅴ』で人気を博したマーメイドやイズンといった人気悪魔たちも登場しているため、彼女たちを長時間連れ回していたデビルサマナーはきっと私だけではないでしょう。

単純な戦闘性能だけでなく、愛着や見た目でお気に入りの悪魔を選ぶ楽しさも存分に味わえるのは本作ならではの魅力ですね。

システムは便利になった部分もあるが……
システム面では大きく進化していて、特に便利になったのが「検索合体」や「逆引き合体」が可能になった業魔殿、そしてどこからでも一瞬で施設や拠点へ移動できるファストトラベル機能です。

原作では移動するために毎回マップに戻って電車に乗る必要がありましたが、本作では修験道や業魔殿などの重要施設も含めいつでもどこでも瞬間移動できるため、移動ストレスは格段に軽減されました。
しかしその一方で、昔ながらの不便さも目立ちます。
今作、全体的にテンポが悪い箇所が多かったのですが、特に不満だったのが、街中でNPCとの会話に悪魔の捜査スキルを使う場面です。
通常会話とは別の専用スキルを使うことで、別パターンの会話を楽しめるのですが、この捜査のテンポがとにかく悪いです。
ブログ掲載用 pic.twitter.com/3kqVQQIWf4
— あすか@ゲームブログ (@dokutsu_mamuru) June 28, 2025
上記の様に、「会話を始める→専用スキルを選択→悪魔を交代→カットイン→演出→ようやく会話」という手順が毎回必要で、その割に会話の内容が薄いことが多いため、徐々に面倒になり全くやらなくなってしまいました。
また、悪魔のレベルアップ時には毎回短い会話イベントが挿入されるのですが、最大24体もいる仲魔が次々とレベルアップすると、その報告を延々と聞くハメになります。
さらに刀の合成時にも毎回ムービー演出が入る、戦闘中に道具を使用するたびにメニューを開いて選択しなければならないなど、細かな点を挙げるとポロポロ出てきます。せめてアイテム使用くらいはショートカットキーを導入して、現代的な遊びやすさを追求してほしかったというのが正直な感想です。

細かいところなので粗探しと言えば粗探しレベルなのだが…。
現代ゲームの快適さに慣れすぎた弊害ともいえる
サクサクと軽快なアクションの良し悪し
本作の戦闘は『葛葉ライドウ 対 アバドン王』のシステムを改良した「MAGドレインバトル」を採用しています。
威力は低いがMAG(MP)を奪える弱攻撃と、威力は高いもののMAGを奪えない強攻撃を状況に応じて使い分けていくスタイルで、これ自体はスピーディで爽快感があり楽しめました。

戦闘はなかなか忙しく、MAGの管理をしつつスキルや必殺技の「スピリット剣」をタイミングよく放ち、さらに仲間のHPにも目を配りながら敵の攻撃を回避するという、マルチタスクが求められるプレイ感です。
ゲームに慣れているプレイヤーならテンポよくこなせますが、アクションゲームが苦手な人にとっては少々ハードルが高く感じるかもしれません。

難易度ノーマルでも油断してるとあっさり死ぬぞ
このように戦闘システム自体は原作から大幅に進化し、爽快感も十分味わえるものの、2025年という現代の基準で評価するとやや古臭さを感じてしまったのも否めませんでした。

軽快なアクション自体は心地よいのですが、ヒットストップが存在せず、攻撃がヒットした際の振動も控えめなため、「攻撃が当たっている」という実感がやや薄くなっている印象です。

ヒットストップって本当に偉大なシステムですね。
仲魔が使用するスキルに関しても、自動で勝手に戦ってくれるのは便利なのですが、何をしているのか今ひとつ明確に把握しづらいです。
もちろん直接指示を出すことも可能なのですが、これがまたアイテム使用時と同様に、毎回メニューを開いて指示を出すという仕様になっています。これでは積極的に活用するプレイヤーは少ないと思います。

近年の洗練されたアクションゲームに慣れたプレイヤーにとっては、良くも悪くもPS2時代の「荒削りで大雑把なアクション」そのままといった感じなので、本作のアクション性には過度な期待を持たない方が楽しめるかもしれません。
やや味気ない仲魔の育成要素
本作の仲魔育成要素は、スキル継承や思い出特技などシステム面では十分な要素が揃っているのですが、ゲーム自体のテンポやボリューム感にやや合っていない印象を受けました。

というのも、本作はメインストーリーに加えてサブクエストを全てこなしたとしても、15時間ほどでクリアできるくらいの比較的コンパクトなボリュームにまとまっています。
そのため、じっくり時間をかけて強力な悪魔を育成したとしても、その強さを活かせる期間は短く、あっという間に旬が過ぎてしまうのです。

悪魔の固有スキルなどもなく、全て汎用スキルなこともちょっと寂しい。。
さらに、新しく訪れるマップで出現する悪魔は、その時点でのライドウと同じかやや高いレベル帯であることが多く、しかも簡単に仲間にできます。
その結果、「合体」で作り上げた強力な悪魔が次のフィールドでごく普通に雑魚敵として登場してしまうという悲しい現象が頻繁に起こります。


悪魔合体で強力な仲魔を生み出すという、シリーズの醍醐味ともいえる楽しみが薄れてしまい、悪魔を育てる喜びや達成感が味わいにくいのは残念なポイント
ストーリーは良く言えば古き良き、悪く言えばB級
本作の舞台は、「大正20年」という架空の時代設定。実際の日本史には存在しないこの時代は、西洋文化の流入による和洋折衷のスタイルや伝統美意識が融合した、いわゆる「大正ロマン」的な雰囲気が強調されています。

ストーリーの詳細についてはネタバレを避けますが、率直に言って「良くも悪くもPS2時代らしい」と感じました。容量や技術的な制約で、2時間の映画を30分にギュッと詰め込んだかのような、多少強引でご都合主義な展開が散見されますが、その雑な展開がかえって一種の味にもなっています。

好きな人にはたまらないクセになる安っぽさ(褒め言葉です)
今回のリマスターではフルボイス化が行われたため、原作よりも没入感は確実に向上しています。ただし、物語自体に大きな加筆はなく、原作通りハイスピードな展開で進んでいくため、じっくりとした感動や余韻を楽しむよりは、軽くて安っぽくも清々しい、B級映画のようなノリを味わう感じですね。

そもそもゲーム自体が、「怪人」「超力兵団」「探偵」「大正時代」といった要素を散りばめた、昭和の特撮ヒーローもののようなB級感を意図的に狙っている作品でもあるので、こうした雰囲気が好きな方にはピンポイントで刺さる魅力を持っていると思います。
まとめ

いかがだったでしょうか!
いやー、なんだか愚痴多めに書いてしまいましたが、それも含めて「これがライドウだよな」と納得できるような味わいがありました。
例えるなら、『ペルソナ』がおしゃれなイタリアンやフレンチだとしたら、『ライドウ』はもつ煮込みのような派手さはないけど、じっくりと煮込まれたような下町の味のような?

古臭さも感じる本作ですが、金子一馬さんがデザインした魅力的な悪魔たちを、美しい3Dグラフィックで自由に連れ歩けるというのは、メガテンファンにとってそれだけでも十分すぎる購入理由になりえると思います。
何よりも約19年もの間、動きがなかったライドウシリーズが再び動き出したということ自体に大きな意味と価値があります。私自身、ゲームの出来に過剰な期待を抱くよりも、「買って応援する」という気持ちの方が強かったですね。
アトラスには『デビルサバイバー』シリーズや『アバタール・チューナー』シリーズなど、良作スピンオフ作品が数多く存在します。今回のライドウ復活をきっかけに、こうした過去の名作スピンオフのリマスターや、新作の開発が盛り上がってくれると非常に嬉しいです!

ではまた、あすかでした〜!
おまけ
今回の記事で生成した画像。ハイカラあすかちゃん。ゴウトはそのまんま
