
こんにちは、あすかです!
今回は、先日ついに100種類にも及ぶ全エンディングを制覇したアドベンチャーゲーム、『HUNDRED LINE(ハンドレッドライン) -最終防衛学園-』のクリア後レビューと感想になります。
まず率直な感想ですが・・・本当に長かった(笑)マルチエンディング100種類は見栄やハリボテではなく、しっかりと作り込まれており、こんなにボリュームのあるテキストADVは『CLANNAD』以来でした。

ストーリーは非常に面白く満足できた一方で、ゲーム全体としての評価は正直難しいです。私は2ヶ月以上かけてようやくクリアしたほどの大ボリュームだったのですが、その2ヶ月間の間に満足度やモチベーションも乱降下し、一時はゲーム自体積みかけました。
というのも本作は良くも悪くもその膨大なボリュームに対して、システム側が快適に遊べる様に追いついておらず、読み進めるのに非常にパワーを使い、ストレスの溜まる作りになっていたからです。
面白いストーリーや魅力的なキャラという正の部分と、UI/UXの不便さやシステム面の負の面が天秤にかけられ、常に評価の天秤がゆらゆら揺れているようなゲームでした。

最終的には100エンド達成してよかったと思えるハッピーエンドでしたけどね!
あすかの総合評価 | |
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満足度:85点 | |
ストーリー・キャラ | |
世界観・デザイン | |
システム・UI | |
サウンド・BGM | |
グラフィック | |
ボリューム・やりこみ | |
プレイハード | SteamDeck |
クリア時間 | 112時間 |
作品概要

メーカー | トゥーキョーゲームズ |
発売日 | 2025年4月24日 |
ジャンル | アドベンチャー、ストラテジー |
対応機種 | Nintendo Switch / Steam |
「ダンガンロンパシリーズ」や「超探偵レインコード」などを制作しているトゥーキョーゲームズの新作アドベンチャーです。
前述作品のシナリオライターである小高氏と、『Ever17』、『極限脱出シリーズ』、『AIソムニウムシリーズ』などを手掛けた打越鋼太郎氏がタッグを組んだ作品として大きく話題になりました。


物語は、東京団地で暮らしていた主人公・澄野拓海が、ある日突然現れた化け物によって日常を奪われ、最終防衛学園に転校させられます。そこで15人の生徒たちと共に、迫りくる侵校生から学園を100日間守り抜き、人類を救うことが目的です。

ゲームシステムはテキストを読み進めて選択肢を選ぶ「アドベンチャーパート」と、SRPG風の「シミュレーションパート」の二つに分かれています。
シミュレーションパートは単なるおまけ要素ではなく、一応SRPGとして最低限のクオリティを備えています。ただし、深い戦略性が求められるほどではなく、比較的ライトな仕上がりになっています。

そんな本作の一番の特徴はなんと言ってもマルチエンディングが100種類存在すること。開発者インタビューでも、まずゲーム制作をする際に、「100個のエンディングを作ろう」というコンセプトから始まったと語られています。
ゲームを進める中では数多くの場面で選択肢が現れ、それに伴って物語が何度も分岐していきます。選択のたびに次々と派生するストーリー展開には恐怖すら覚え、圧倒されました。

「このゲーム、狂ってんな」という要素が一つでもないと戦えない、という開発の強い想いがあったことがインタビューで述べられており、実際にその言葉通りの狂気的とも言えるほど膨大なテキスト量になっています。
もちろん100個すべてが完全に別々のストーリーというわけではなく、選択肢によっては100日を迎えることなく終わるバッドエンドも含まれています。

ただ、それを差し引いてもメインとなる主軸のルート以外に約20ほどの物語が存在し、それらはまったく異なる雰囲気や展開を持った個性的なストーリーで非常に楽しめました。
製作者である小高氏は、「プレイヤーがどこかでお気に入りの1ルートを見つけられたなら、それを『真ルート=トゥルーエンド』として捉えてもらえれば十分だ」と語っており、無理して100エンドをクリアせずとも、十分に楽しめる内容になっています。
しかし実際にプレイしてみると、(一部のルートを除いて)ほとんどのストーリーは非常に面白く、それぞれのルートでは新たな真実や驚きの展開が次々と明かされるため、結果としてすべてのエンディングをクリアしてよかったと思える作品でした。

最終的に苦労に見合ったカタルシスは得られましたよ!
個性豊かなキャラクターたち
トゥーキョーゲームズといえば、『ダンガンロンパ』シリーズや『超探偵事件簿レインコード』などで知られる、強烈すぎる個性を持ったキャラクターたちが最大の魅力です。
本作でも、その個性あふれるキャラクターの魅力は健在でした。

本作に登場するメインキャラクターは全部で15人。幼馴染の美少女やインテリメガネといった定番キャラクターから、トマトのマスクを被ったお嬢様や、アニメ漫画が大好きな変態女侍など、他のゲームではまずお目にかかれないような強烈な個性の持ち主が揃っています。

良くも悪くも非常に尖った個性のキャラクターばかりなので、中には嫌いになるキャラもいるかもしれませんが、逆に言えば、自分の性癖や好みにどストライクなキャラクターに出会える可能性も高いです。

ダンガンロンパなどで特にキャラクターに魅力を感じていたプレイヤーであれば、本作も間違いなく楽しめると断言できます。

私の推しはプレイ中ころころ変わったけど、最終的には蒼月くん!

ルート格差の大きい賛否分かれるシナリオ
本作の売りである「100種類のマルチエンディング」は決して誇大広告ではなく、実際にきっちり100のエンディングが用意されています。
バッドエンドも選択直後にあっさり終わるような手抜きのものではなく、ある程度ストーリーの作られたバッドエンドになっています。

そのうち約20ほど存在する物語ルートにはそれぞれ「〇〇編」という形で名前がつけられており、例えば、謎がさらなる謎を生む『推理編』や、本格的な命がけの展開が待つ『デスゲーム編』、終始ギャグやユーモアに振り切った『コメディ編』など、ルートごとに物語の雰囲気や展開が大きく変化します。

これらの個別ルートはそれぞれが短編ノベルゲーム1本分ほどのボリュームを持っており、普通にプレイするだけでも10時間弱はかかります。
特に、小高氏や打越氏が手掛けたと思われる、いわば真エンドにあたる『〇〇〇〇編』や『〇〇編』は非常に秀逸で、多くの伏線が巧妙に張り巡らされています。それらが怒涛の勢いで回収されていく展開や、次々と明かされる衝撃の真実は、寝る間も惜しんでプレイしてしまうほどの面白さがありました。

一方で、一部のルートでは苦痛と言っても過言ではないほどの酷いプレイ体験でした。
原因としては後述するUI/UXの問題も大きいのですが、そもそもシナリオ自体が単純につまらなかったり、「100日間を過ごす」という設定自体が大きな足枷になってしまっている点が挙げられます。
遊ぶシナリオによって、100日間を過ごす間に主人公である澄野は、気絶したり、疲労で数日間寝込んだり、挙げ句の果てには「他人にツッコミを入れると爆発して意識が飛ぶ」という意味不明な展開まで使われ、あの手この手で100日間を持たせようというシナリオライターの苦肉の策が透けて見えます。

さらに、一気に数日が経過するような展開ならまだマシな方で、中にはひたすら単調な戦闘が連続したり、面白みのない探索を延々と強要されたり、自由行動時間ばかりが続いて肝心のストーリーがほとんど進まないルートなど、「そのルートがあるだけで、ゲーム全体の評価を下げてしまうレベル」の、シナリオとしての魅力が皆無なルートも幾つか存在していました。
製作側はインタビューで「各プレイヤーが自分の好きなエンディングを見つけたらそれで終わっていい(意訳)」と述べていますが、それはプレイヤーの視点からすると少し的外れです。

そもそも実際に遊んでみないと好きなエンディングかどうか判断できないんですけど…。
まだ見ぬ選択肢の先に、自分にとって最も魅力的なエンディングが隠れている可能性がある以上、ゲーマーならば全てを試してみたくなってしまうものではないでしょうか?さらに真エンドの場所がゲーム側から明示されていない以上、なおさらプレイヤーは全ルートを試さざるを得ません。

このように、神ゲーと呼べるほど圧倒的な面白さを誇るシナリオと、ゲーム全体の評価を著しく下げるほど退屈なシナリオが混在する、「玉石混交なゲーム」というのが100エンド完走した率直な感想です。
不満大爆発のUI/UX
ここから挙げる不満点を読む前に、前提としてお伝えしておきたいのは、「共通ルートである1周目と真エンドルートのみをプレイする場合には、以下の不満点はほぼ気にならない」ということです。
あくまでも100種類すべてのエンディングを制覇しようとした際に感じたストレスについて述べていきます。
圧倒的なテキスト量を誇り、そのボリューム感が魅力でもある本作ですが、率直に言ってシステム(UI/UX)は非常にストレスフルです。何度かのアップデートにより大幅に改善されてはいますが、それでもなお、全100エンドを快適に遊べる設計になっているとは思えません。
特に自由時間や探索パートは冗長的で面白みに欠け、ただただプレイヤーの時間を浪費させられている感覚が否めません。繰り返しプレイすることが前提にもかかわらず、侵校生襲来時には毎回同じ2種類のムービーが必ず流れ、テンポを著しく阻害します。

また、SRPG形式の戦闘についても、序盤こそ新鮮で楽しめますが、奥深い戦略性などはなくどちらかと言えば単純なパズルゲームに近い仕上がりなので、共通ルートをクリアする頃にはその底が見えてしまい、正直途中で飽きてしまいます。

断言しますが、100エンドを制覇したプレイヤーは全員、戦闘や探索パートをスキップします。これは本当に断言できます。(もし一切スキップしていない狂人がいたらごめんなさい)

スキップはたしかに出来るけど、そもそも絶対スキップされるようなものは最初から省いてくれと思う。
確かに最初の数エンドまでは没入感を高めるために必要かもしれませんが、途中からは明らかに無駄な要素に感じられます。そもそも「100種類のエンディング」をコンセプトとして掲げているのであれば、それをストレスなく楽しめるようなシステム設計を作っておいてほしかったと思います。

半ば意地と根性で全100エンドをクリアした私ですが、ゲーム全体のストーリーや真エンドには非常に感動した一方で、それ以外の要素に伴うマイナス面やストレスがあまりにも大きく、不満が爆発したのも事実です。それでも最後までやり遂げることができたのは、ひとえに物語の魅力とキャラクターへの愛情があったからです。

良いところと悪いところが表裏一体で…。本当に評価難しいゲームなんだよね。
30エンドをクリアした頃までは、日常会話なども比較的楽しむ余裕もありましたが、50エンドを超えたあたりからは、戦闘も探索も完全にスキップし、日常会話すら流し見状態になってしまいました。
最終的には各固有ルートの核心部分だけをじっくり読み進めるようになり、「全エンドを制覇したい」という意地だけでプレイしていました。とはいえ、その中で素晴らしい物語に出会えたため、クリアしたこと自体に後悔は全くありません。
私の場合、面白いルートで一気に盛り上がったかと思えば、苦行のような退屈なルートで一気に冷めるということを何度も繰り返し、モチベーションという名の飛行機は乱高下を続け、なんとか墜落する(積む)ことなく100エンドを完走することができました。

もしこれから新しく本作を遊ぼうと考えている方がいるとして、全エンド制覇をオススメするかと言われたら・・・微妙なところですね。なぜなら途中でゲーム自体を嫌いになってしまうほどの苦行を感じた場面もあったからです。

ただ、その苦行を乗り越えた先に感動できる素晴らしい物語が待っていたりするので、一概には言えないですけどね。
しかし、現在(2025/07/16)では、複数回のアップデートにより、発売当初よりかなり快適に遊べるようになっています。それでも100時間近くはかかると思うので、時間に余裕がある人はぜひ100エンディング到達の景色を見てみてください。
まとめ

いかがだったでしょうか!
不満点の記述の方が熱量高めになってしまいましたが、ゲーム全体としては非常に面白く、満足できる作品でした。特に、真エンドについては本当に感動しました。

改めて振り返ってみると、本当に『狂気』という言葉がふさわしいゲームでしたね。
長い時間を共に過ごした特防隊のみんなとのお別れには寂しさも感じますが、一方で「もうプレイしなくていいんだ」という開放感も感じています。
100エンドクリアして後悔はしていないとは言いつつも、もし今後ハンドラ2のような同じコンセプトのゲームが出たとしても、おそらく100エンド制覇はしないと思いますw
そして、ようやく本作から解放されたかと思いきや、なんと10月には同じトゥーキョーゲームズから新作『終点教団』が発売予定とのことです。開発体制どうなってんの……。
次回もまた狂気的な挑戦が待ち構えているのかどうかは分かりませんが、また新たな体験に翻弄されることを楽しみに、発売を心待ちにしています!

ではまた!あすかでした〜!
おまけ
特防隊員あすか。実はワキガとか淫乱とか変な設定がありそう。
