
こんにちは、あすかです。
今回は先ほどクリアした『ダレカレ』の感想・考察記事をクリア時の勢いのまま書き散らします。
1時間ほどでクリアできるライトな物語なので、今回はいつものレビューとは違う感じです。
ちなみにネタバレ無しで書こうとすると何も書けないので、今回はネタバレ全開でいきます。
ネタバレ無しで言えることは、「色使いと音楽が素晴らしい、ナラティブな体験ができるゲーム」ぐらいしかありません。
一応ないとは思いますが、本記事を読んで満足して「プレイしなくていいや」とは絶対にならないで欲しい作品です。
本作は『プレイヤーが体験すること』に大きな意味があり、実際にゲームプレイを通したナラティブな体験と、ただストーリーを読んだだけでは、得られる感動に雲泥の差があります。ゲームだからこそ表現できる内容となっています。
そのため、まだ未プレイだという方、プレイ予定の方は読まないで欲しいと願います。

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感想・考察
はい、泣きました。
プレイ後の「ああ、そういうことだったのか…」という読後感には心が震えました。
まず、この物語は妻・ソフィアの主観で進行します。
ゲーム序盤のチャプター1では、家で目を覚ました少女が、居間にいる見知らぬおじさんに恐怖を感じて逃げ惑うシーンから始まります。

この時点ではホラーのような不穏さが漂っていますが、物語が進むにつれて、この少女が実は重度の認知症に苦しむ高齢のソフィアであり、おじさんが彼女の夫・ロジャーであることが明らかになります。
チャプター1では、自身を少女だと思い込んでしまっているソフィアが、長年連れ添ったパートナーすら見知らぬ人物に感じてしまい、恐怖のあまり119に通報しようとしたり、家から逃げ出そうと試みたりする、混乱と不安が痛々しく描かれています。

このゲームで重要なポイントは、認知症により現実が歪んで見えるソフィアの視点をプレイヤーが追体験させられる点です。スプーンを掴む、トイレットペーパーをちぎる、階段を登るなど、通常であれば無意識にできるような行動ひとつひとつにポイントクリック式のミニゲームが設定されています。

このミニゲームではボタンなどに何の説明もなく、プレイヤー自身が操作性の悪さにイライラさせられることで、ソフィアの感じている煩わしさがダイレクトに伝わってきます。このゲームデザインは秀逸で、認知症患者が日常的に抱える苦難を描き出していました。
チャプター2ではロジャーとソフィアの若い頃の出会いや結婚の経緯が、淡い色合いのパステルカラーで美しく描かれ、彼らが深い愛情で結ばれていたことが伝わってきます。

だからこそ、チャプター3で再び現代に戻ったときのロジャーの苦しみが際立ちます。
私が特にぐっときたシーンは、ロジャーが介護のストレスからソフィアを殴ってしまい、そのことで激しい自己嫌悪に陥る場面です。
「健康であるときも病気のときも命の限り誠実に向き合う」と誓った相手に手をあげてしまい、深い後悔と絶望を感じている彼の小さな背中に、認知症に苦しむソフィア自身が優しく手を回すシーンには、思わず涙がでました。

このゲームは単に認知症患者の苦しみだけでなく、介護をする側の心理的負担や葛藤も表現しています。ソフィア(患者)の視点を通じて描かれる世界は、実際にはロジャー(介護者)にとっても孤独な世界です。
今クリア後の勢いで書き散らしているので、そろそろおしまいにしますが、本当にこんな短い時間で心に深い爪痕を残してくれた素晴らしい作品でした。

私も結婚している身なので、将来パートナーがそういった状態に陥る可能性を嫌でも考えてしまい、もっと普段から何気ない日常も大切にしないといけないなと感じました(単純)
そういう意味では1コインで私の人生観を少しだけいい方向に導いてくれたゲームでしたね。
誰もがいつか直面する可能性のある現実を、ゲームを通じて鮮烈に体験できる良い作品だったと思います。

ではまた、あすかでした!