ドラクエ1リメイクの難易度について考える

雑記

今回は先日クリアしたドラクエ1リメイクについて、Xでのポストが予想以上に伸びたので、その戦闘バランスについてもう少し深掘りして書いてみようと思います。

当たり前ですけど、“個人的に私はこう思った”という話です。予防線です。

なお記事の中で、一部中ボスが出てくるので、ネタバレ一切見たくない人はブラウザバック推奨です。

まず、本作の難易度ですが、従来のドラクエナンバリングに比べて、難易度がかなり高めです。

ノーマル難易度(バッチリ冒険)でも手応えがあり、レベリングせずストーリーを進めているだけでは、必ず難所に当たります。

で、その“難しさ”の方向性が、これまでのドラクエとはちょっと違うように感じました。

どう違うかというと、昔のドラクエでキツい場面って「フバーハがないと無理」とか「ベホマラー覚えてないから回復追いつかない」とか、要はレベルやスキルを上げれば解決するタイプが中心だったと思うんですよね。

つまり、最終的にはレベリングで押し切れるやつ。

しかし、今作はそうではなく、例え同じレベルでも、装備構成や属性耐性、使う特技・呪文によって戦闘の難易度が大きく変わってくるバランス調整になっています。

シリーズの中では、3DS版ドラクエ8の追憶の回廊が感覚近いかもしれません(あちらはエンドコンテンツですが)

試行錯誤を楽しめるか

例えば物語の難所のひとつであるドラゴンゾンビ

私の体験でもありますが、こごえるふぶきによるダメージがかなり痛く、氷耐性をまったく考えずに突っ込むとボロボロにやられます。

そうなった時に、無策でひたすら挑み続けて「このゲームは調整がおかしい!」と思うのか、「一旦他の場所を回ってみるか」と思考を切り替えられるかによって、このゲームへの印象は大きく変わってくると思います。

しっかり世界を探索してみると、とある宿屋でほのおの鎧ほのおの盾といった”おあつらえ向きの装備”が売られていることに気づきます。

ただし値段は高い。ストーリー追ってるだけではまず買えない値段です。そこで、「ドラゴンゾンビを倒すためにお金を稼ごう」という目的が生まれます。

まさにこの部分にRPGとしての楽しさの原点が詰まっていると私は感じました。

逆に「わざわざ中ボスを倒すためにお金稼ぎ?めんどくさい」と感じるタイプの人には、本作は厳しいかもしれません。

でも、そもそもRPGの楽しさって、本来はそういう部分にあると思うんですよね。(*本作の場合、1体倒すと2000G落とすゴールドマンという、分かりやすい金策モンスターが用意されているかなり親切設計)

また、ボス戦以外でも、道中の雑魚敵は全体的に火力が高めで、ダンジョンによっては、麻痺ザキといった一発アウト系の技を使う敵も出てきます。

ただ、そうした敵にもアクセサリーや道具でしっかり対策できるようになっており、「このダンジョンにはこの攻撃をしてくる敵が多いからこの装備を付けておこう」などと思考する楽しさがあります。

もちろん、一部の雑魚敵が異常に強い場面もありますが、その“ごく一部”を取り上げて「このゲームはバランスが悪い!」と断じるのは、さすがに拡大解釈が過ぎると思います。

その理屈なら、昔のゲームは全部バランス崩壊になってしまいますからね。

巻物システムの妙

装備構成の工夫だけでなく、特技や呪文の習得バランスも本作の大きな特徴です。

「結局、特技や呪文が足りないってことは、レベルが足りないってことでは?」と思うかもしれませんが、そこを見事に解消しているのが、本作の巻物システムです。

コレが素晴らしく機能しており、この巻物の存在が探索の重要性を格段に引き上げています

リメイク版ドラクエ3でも感じましたが、従来のドラクエって探索の報酬設計がやや薄めなんですよね。せいぜい逃したくないのは「小さなメダル」くらいで、基本的には探索しなくても問題なく進める構成になっていました。

しかし、本作ではストーリー攻略に直結するような強力な特技や呪文が巻物として存在しており、それらは街中の本棚や洞窟の脇道の宝箱などに置かれています。ちゃんと探索をせずにこれらを無視して進めてしまうとかなりキツいんですよ。

分かりやすいのが、ベホイムという上級回復呪文がコレにあたり、この存在に気づかずにストーリーを進めてしまうと、終盤まで延々とベホイミで回復をする羽目になります。そりゃ当然キツい。

でも、ちゃんと探索して巻物を拾っていれば「なるほど、これが必要だったのか」と納得できる。

こういう探索が攻略に直結する設計は、古き良きRPGの面白さを現代的に再構築していて、本当にうまいと思いました。

気づきと意識の切り替え

話は戻りますが、例えばどうしてもドラゴンゾンビに勝てない場合は、一度ほかの場所を探索することで状況を打開できる装備や巻物を見つけられることができます。

このように、ある種エルデンリングのような、「詰まったら別の方向に目を向ける」というプレイングスキルが本作では重要になっています。

この発想がないまま無策で同じ敵に挑み続けると、結果的に「理不尽だ、調整不足だ」と感じてしまうのではないかと思いました。

でも、実際は自分で思考できるかを問われているんですよね。(その設計をこのコンパクトなマップに落とし込んでいるのが本当に見事)

この記事を書くきっかけにもなった「あくまのきし」も、この典型で、この敵は挑むタイミングが完全に自由で、初見で挑んだ私はレベル26〜27くらい。半分も削れずにボコボコにされて、一旦放置することにしました。

そして竜王に挑む終盤になって、レベルも上がり装備特技呪文が揃ってようやくまともに戦えるようになる。そういう切り替えができるかどうかが、本作を楽しむ上で大事なポイントだと思います。

他にも、装備構成や特技・呪文だけでなく、今作では敵の行動パターンを読む力も求められます。

たとえば、あるストーリーボスは2回行動のローテーションの中で、必ず「激しい炎」を2連続で撃ってくるという特徴があります。

最初はそれに気づかず、為す術なくボコボコにされますが、何度か挑むうちに「あ、ここで大防御を挟む必要があるな」と学習していく。

こうした気づきの積み重ねこそが、今作の戦闘、特にボス戦における醍醐味になっていたと思います。

まとめ

ここまで雑多に書いてきましたが、本作の難易度はドラクエとしてはかなり挑戦的な部類に入ると思います。

従来のドラクエは、ストーリーを進めていれば自然とレベルが上がり、詰まってもせいぜいはぐメタ狩りをすれば突破できるような設計でした。

そしてそれが“万人に愛されるドラクエらしさ”でもありました。

しかし、リメイク版ドラクエ3ではその親切設計が行きすぎてしまい、結果として一部のゲーマーからは不満をもたれることになりました。

いきすぎた親切心はゲームにおける達成感を大きく削いでしまい、何も考えずに誰でもクリアできるようなものは、ゲーマーにとって到底楽しいとは思いづらいからです。

しかし、今作ではそこから一歩踏み込み、アトラス作品やサガシリーズのような「考えて戦うRPG」になりました。この調整に挑戦したスクエニの判断は、見事だったと私は称賛したいです。

もちろん、「ドラクエにそんなもの(戦略性)は求めていない」という声が出るのは必然だと思いますし、そう思う人たちが悪いわけでは決してないと思います。

ドラクエとは、良くも悪くも“変わらないこと”が魅力でもあったシリーズですからね。

しかし、本作は見た目や雰囲気こそ従来のままに見えつつも、ゲームデザインの根幹においては確実に変化していました。

個人的には、商業的な立場からこの調整に踏み込むのは相当な勇気がいるなと思いました。

従来のような誰でもクリアできる調整にしておけば、ライトユーザーからは不満は出ないし、せいぜい一部のゲーマーから物足りないという声が出るぐらいでしょう。

それを本作のような調整にすると、クリアできない層から文句が出るのは分かりきっているからです。

そのリスクを承知の上で、RPGの原点的な楽しさを追求した今回のドラクエ1リメイクは、私にとって今後のドラクエの方向性を大きく変える一歩になったとすら思えます。(言い過ぎかも)

まだ1をクリアしただけなので、これから始める2がどうなっているかはわかりませんが、もしこのクオリティを2でも維持できているなら、全ドラクエ作品をプレイしてきた私にとっても、最高のドラクエになる可能性があると感じています。

ゲーム全体の感想は、2を終えてから改めてまとめますが、今回はひとまずドラクエ1リメイクをクリアしての率直な感想でした。

あすか

ではまた、あすかでした!

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